こんにちは、エクシールの鷲見です。
今回は、急速冷凍技術の種類と特徴について紹介してまいります。
急速冷凍技術は、冷凍食品の製造だけでなく野菜農家や畜産業、漁業など幅広い食産業で取り入れられています。
なぜ急速冷凍が良いの?
食品を凍らせるのに急速冷凍が用いられる理由は、冷凍前の品質・鮮度を維持できるためです。
一般家庭で用いられる冷凍庫は、-18℃程度で数時間かけて食品をゆっくり凍らせます。冷凍に時間がかかると最大氷結晶生成帯※1の通過時間が長くなり、食品中に含まれる水分は大きな氷結晶となります。氷結晶が生成されることで、食品の細胞や組織を破壊し食感や風味を損なわせてしまいます。
一方急速冷凍は、30分以内という短い時間で最大氷結生成帯を通過し、食品を素早く冷凍します。これによって氷結晶の成長を抑え、素材の鮮度や調理品の品質を保つことができます。
※1 最大氷結晶生成帯:食品の冷凍過程で氷結晶が大きくなりやすい温度帯(-1℃~-5℃)
冷凍技術の種類
急速冷凍にはどのような方法があるのでしょうか。
エアブラスト方式
冷風を食品に直接あてて冷凍する方法で、最も広く知られている冷凍技術です。送風温度は-30℃~-70℃程度と幅広く機械によって異なります。
食材の型崩れを防ぐため、使用時は風量に注意する必要があります。
ブライン方式
低温でも凍らない溶液を冷却し、食品を漬け込んで冷凍する方法です。例えば、使用する液体が塩溶液であれば-20℃程度、アルコールであれば-40℃まで冷却させます。
熱伝導率が非常に高いことから、漁業では魚の鮮度を保つために、釣り上げた魚を直接塩溶液に入れ凍結させる方法があります。ですが、その他の食品は液体による影響を防ぐため、食品を予めパウチするのが一般的です。
鮮魚の他には、パウチされても形が崩れない食品に適しています。
液化ガス方式
-196℃の液体窒素や-79℃の液化炭酸ガスを食品に吹き付けて冷凍する方法です。
運用コストが他よりも高いですが、瞬時に冷凍が可能なため氷結晶の生成を抑え品質に付加価値を付けたい高級食材に用いられることがあります。
また、大量冷凍が可能なことや稼働期間が空いてもメンテナンスがしやすいことから、生産量にばらつきがあり一時的に大量の食品を冷凍したい時に適しています。
コンタクト方式
冷却した金属板で食品を上下から挟み込み、加圧して冷凍させる方法です。
加圧するため使用できる食品は限られ、密着性が良く力が加わっても形状が崩れない食品に適しています。
すり身やスライスされた食肉のような食品は、冷凍と同時に挟み込んで成形もできるため効率的です。
まとめ
今回は、品質の維持に最適な急速冷凍技術の種類についてご紹介いたしました。
急速冷凍はそれぞれの特徴を活かして併用することも可能です。
冷凍させたい食材やコスト、どの工程に取り入れるのかなどを考えながら導入を検討していきましょう。
<参考>
株式会社えだまめ「おいしい冷凍研究所」:https://frozen-lab.eda-mame.jp/
株式会社テクニカン「Column>急速凍結とは何かと急速凍結機の種類」:https://www.technican.co.jp/
エア・ウオーター「産業ガス関連事業 冷凍フリーザー」:https://www.awi.co.jp/
鷲見まいか
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