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食品工場に潜む生物的危害要因にはどんな種類がある?|HACCPのキホン

こんにちは!最近実家で子猫を飼い始めたとのことで、さっそく触れ合いに行った鈴木です^^
小さなモフモフは心を癒してくれますよね・・・我を忘れたように猫じゃらしと戯れる子猫ににやにやが止まりませんでした。

さて、今回の記事ですが、食品工場に潜む6つの危害要因(ハザード)のうちの一つ、「生物的危害要因」について、掘り下げて見ていきたいと思います。
「生物」が原因の害・・・というと、害虫や害獣を思い浮かべてしまいそうですが、ここでの生物学的危害の原因となるのはカビやウイルスなどの「微生物」を指します。
どのような原因微生物があるのか、どのような個所に発生しやすいのかを把握して、食品汚染・食中毒予防に役立てていきましょう!

 

生物的危害とは

冒頭でも挙げたように、「生物的危害」とは、その多くは微生物によって引き起こされる健康被害になりうる原因を指していて、微生物以外にも、寄生虫などにより発生するものも含まれます。
発生の原因となるものを大きく分けると、①細菌、②リケッチア、③ウイルス、④原虫、⑤酵母、⑥カビ と分けられます。
これらによって引き起こされる被害は主に食中毒で、場合によっては被害が深刻になることもあります。

また、細菌の種類によっては、食べた後の体内で毒素を発生するものや、付着した食品内で毒素を出し、加熱で菌は死んでも毒素は残っている・・・といったものなど、特徴は多岐にわたるため、自社工場内で混入しうる「生物的危害要因」を把握しそれぞれの危害要因に合った対策を行っていくことは非常に重要です。

 

 

次の項目からは、生物的危害を大きく分けた時の一つ一つを紹介していきます。

 

病原細菌

生物的危害要因となる細菌には、

(1)食品と一緒に細菌を食べてしまうことで体内で毒素を出す「細菌性感染型」食中毒の原因菌と、
(2)食品に付着した細菌が増える際に毒素を作り、それが体内に入ることで起こる「細菌性毒素型」食中毒の原因菌 があります。

また、細菌には「芽胞形成菌」と「芽胞非形成菌」のタイプに分けることが出来ますが、この芽胞形成菌というタイプの細菌は、環境が悪くなった時に「芽胞」と呼ばれる特殊な膜を形成し、通常の菌では弱点となりうる乾燥や熱に異常に強くなる特性がるため、特に注意が必要です。

ここでは感染型と毒素型に分けて、それぞれの代表的な細菌を簡単に紹介していきます。

 

(1)細菌性感染型食中毒の原因菌

腸炎ビブリオ
魚介類に分布。特に生食の場合は注意が必要です。真水や酸に弱い性質があるため、真水での洗浄や菌が増殖しないよう低温管理の徹底が求められます。

 

サルモネラ属菌
鶏、豚、牛などの腸管や河川、下水など自然界に広く分布。少量菌数でも食中毒になる細菌です。加熱を十分に行うことで予防することが出来ます。

 

病原性大腸菌
こちらも少数で食中毒になる危険性があります。井戸水などにも混入していることがあるため、工場内の定期的な水質検査をお勧めします。

 

カンピロバクター
ペットを含めあらゆる動物に分布しているため、食肉(特に鶏肉)を扱う際には他の食材への二次汚染に注意が必要です。また、動物のフンなどで汚染された生野菜も注意しましょう。こちらも、少数で食中毒になる恐ろしい細菌です。

 

ウェルシュ菌
水や土壌に分布。酸素を嫌う「嫌気性菌」です。さらにこの菌は、芽胞形成菌でもあります。カレーやシチューなど、酸素が少ない食べ物中で増殖するため、十分な加熱処理と合わせて、すぐに食べない場合は短時間冷却、低温保存での管理が重要です。

 

サルモネラ菌による食中毒を防ごう|食品工場でできる効果的な食中毒対策

カンピロバクターによる食中毒を防ごう|食品工場でできる効果的な食中毒対策

 

(2)細菌性毒素型食中毒の原因菌

黄色ブドウ球菌
人の手指、特に切り傷や化膿などに広く分布しています。菌自体は熱に弱いですが、食品についた菌が増殖する際に生み出す毒素は100℃20分の過熱でも分解されません。また、酸素のない状態でも増殖が可能です。誰でも持っている最近のため、特に手洗いなど意識的に行う必要があります。

 

セレウス菌
土壌、水、ほこりなど自然環境は農畜水産物に広く分布。芽胞形成菌で熱に強く、またこの菌が作る毒素も126℃90分の過熱でも失活しません。更に、この菌は感染系食中毒系の細菌と同じく、食べた後の増殖によっても食中毒を引き起こします。穀物加工品での発症が多くみられ、発育温度は4~50℃。加工後は速やかに4℃以下まで冷却し、室温放置は危険です。

 

ボツリヌス菌
土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している、嫌気性の芽胞形成菌です。特徴は神経性の毒素を作ることで、知られている自然界の毒素の中では最強の毒力があると言われる恐ろしい菌です。酸素のない状態になっている食品が原因となりやすく、瓶詰や缶詰、保存食品などは特に注意が必要です。

 

リケッチア

リケッチアは、細菌より小さく、節足動物の腸管に寄生し、ダニやシラミ、ノミなどによって媒介され、発疹(ほっしん)性の熱性疾患を引き起こします。
リケッチアは一般的には熱に弱く、56℃の過熱で簡単に死滅します。消毒薬に対する抵抗性も強くなく、アルコールなどで消毒でき、数分の超音波処理などでも破壊することが出来ます。
また、動物の細胞内でのみ増殖することができ、細胞外では発育できないことも特徴です。
リケッチアの主な疾患にはQ熱ツツガムシ病などが挙げられます。

媒介動物はあるダニやシラミ、ノミですが、もともとの菌を持っている保菌宿主(牛や羊、猫や犬、ウサギなどの動物)の毛皮や糞尿も感染源になりうる様です。工場内の衛生環境の改善と、個人衛生の徹底が求められます。

 

 

ウイルス

生物的危害要因として代表的なウイルスに「ノロウイルス」が挙げられます。
これは二枚貝に分布しているウイルスで、人の腸内でのみ増殖し、少量での感染、そして感染力の高さでも知られています。
しっかりとした加熱処理とともに、調理器具などによる二次汚染の予防を徹底する必要があります。

ノロウイルスの集団感染路、感染拡大を防ぐには?|食品工場で食中毒を効果的に防ぐ

 

 

原虫・寄生虫

原虫類・寄生虫類が原因となり、食中毒を引き起こす可能性があります。
主に食肉に寄生するものとして、トキソプラズマ(豚、羊、山羊)、サルコシスティス(馬、牛、豚、羊など)、魚介類に寄生するものとして、アニサキス(鯖、鯵、イワシ、サンマやイカなど)など様々な種類があります。
加熱処理で死滅する場合がほとんどですが、加熱が不十分だったり、生食の場合は注意が必要です。

 

 

酵母

酵母、と聞くと、食品を製造するのにつかわれるもので、品質悪化の原因にはならないように感じるかもしれません。酵母は細菌とは異なり毒素を生成せず、栄養価も高いのですが、
酵母汚染」というものも存在します。

酵母は生野菜や果物の表面に多数付着しており、作業者の手や靴底を介しての移動、空気の流れなどによって食品に付着してしまいます。食品の加工機械に付着した食品残差で増殖することもある用です。
これらが製品に混入し増殖することで、「シンナー臭」や「石油臭」などといった、異臭のクレームが起こりやすくなってしまいます。

酵母による汚染を防ぐためには、酵母の持ち込みを防ぎ製品への混入を防ぐこと、加熱処理や洗浄殺菌、そして機器の殺菌消毒などを行うと効果的です。
また、不十分な洗浄後のアルコール散布は、アルコールに耐性のある酵母を増やしてしまう恐れがあるので注意しましょう。

 

 

カビ

元々食品についていたり、工場内に生えていたカビが製品に混入し、健康被害をもたらすこともあります。
特にこれからの時期は湿気が多く、カビの繁殖が活発になる季節。またカビはホコリや汚れ、食品残差などを栄養分に増殖するので、工場内のカビ対策も今一度チェックしてみることをお勧めします。

カビの生えやすい場所って?|食品工場のカビ対策をはじめから

 

 

まとめ

いかがでしたか?
生物的危害の原因となる細菌やウイルスなどの数は多く、食品中で増殖してしまったものを出荷すると大量回収などのリスクも負いかねません。
自社で扱う原材料から危険視しなければならない菌などを把握し、「持ち込まない」「(食品に)つけない」「(食品中で)増やさない」の3原則を守りながら、しっかりとした衛生管理を行ってきましょう。

 

 

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鈴木ちか

ウレタンの特性を活かし様々な商品を製造・販売している、株式会社エクシールで働いています。最近は食品工場向けの依頼が多く、仕事を通して学んだ製造業のアレコレを記事にしていきたいと思っています。同じ製造業の方が見て何かヒントになるような、そんな記事が描けるよう日々努力していきます!

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