こんにちは、鈴木です。先日行ったお寿司屋さんのお手頃ランチでびっくりしたのが、なんと、すべてネタが2枚重ねで乗っていたことです^^!
一枚目はお刺身として、2枚目はシャリと一緒にお寿司として、なんだかお寿司とお刺身を同時に楽しめたようでとってもお得感がありました。
さて、今回の記事でご紹介するのは、義務化に向けて制度改正が進められている「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化」の「対象範囲」についてです。
平成30年6月13日に公布された食品衛生法の改正によって、一層耳にすることが多くなったHACCPシステム導入の制度化。
一体どんな企業がHACCPを導入しなくてはいけないの?
うちの会社は大丈夫?
いつから改定されるの?
といった疑問について、9月現在の公表されている情報をもとにご紹介していきたいと思います。
食品等事業者の方で、HACCP義務化の対象範囲について知りたい方は是非参考にしてみてくださいね。
目次
よく言われる「HACCP義務化」とはどんな制度?
少し前から日本でも義務化をとささやかれていたHACCPシステムの義務化ですが、平成30年6月13日に公布された食品衛生法の一部改正によって、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」という名称で、厚生労働省から制度化に向けた発表がありました。
HACCPとは食品の衛生管理を安全なものにするための管理手法のことを示し、すべての食品関係の事業社はこのHACCPの手法を使って食品を衛生的に管理しなさいよ!という制度です。
もちろん急に制度化することは難しいので、実際に制度改正が適用されるのは、2~3年後を予定しているようです。
どんな企業が対象なの?
そうなると、気になるのはどんな企業が対象なのか?ということですよね。
では、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」が実際に適用された時に、対象となる企業はどのような企業なのか、見ていきましょう。
対象企業は、厚生労働省のHPによると、“原則として全ての食品等事業者”とされています。これは主に、食品の製造、加工、調理、販売などにかかわる事業を行っている事業者全てを指しており、と畜場業や食鳥処理場から、メーカー事業、加工事業、販売店、飲食店、更には食品の保管や運搬を行う事業も対象となります。
また、重要なのは、この対象となる企業の中にも「2つの基準」が設けられることになっていることです。自分の事業がどちらの基準に入るかによって、どの程度HACCPを導入するべきかが異なってきます。
「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」
以前はA基準とB基準、という呼称がなされていましたが、内容がわかりづらいなどの指摘があったため、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」と表記されるようになりました。
2つの基準に対する厚生労働省の記載は次のようになっています。
HACCPに基づく衛生管理
コーデックスのHACCP7原則に基づき、食品など事業者自らが、使用する原材料や製造方法などに応じ、計画を作成し、管理を行う。
(食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組)
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行う。
(取り扱う食品の特性などに応じた取組)
食品に携わる事業はこの2つの基準のどちらかに分類分けされることになっており、それぞれ分類分けされた基準に従って衛生管理を行っていくことになります。
どんな事業が「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」の対象になるの?
現在の段階では、
・小規模な製造・加工事業
・併設された店舗で小売販売のみを目的とした製造・加工事業
・提供する食品の種類が多く、変更が頻繁な飲食店などの業種
・低温保存が必要な梱包食品の販売など、一般衛生管理のみの対応で管理可能な業種
が、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象となる予定であり、この分類分けに関しては、その要件を政令で定めることとしています。
この政令に関しては現在も「食品衛生管理に関する技術検討会」において検討が進められている状況のようです。
想定される業種としては、お菓子の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売、豆腐の製造販売、飲食店、給食施設、そうざいや弁当の調理などの事業があります。
少量だけ食品を扱う雑貨店なども対象となるのか?
缶詰やインスタントラーメンなどしか販売していない、食品を主としていなくても少量の食品を扱っているような事業の場合でも、この制度の対象になるのでしょうか?
この質問にも厚生労働省は回答しており、缶詰など常温で保存可能な放送積み食品のみを扱う場合、公衆衛生に与える影響が小さいと考えられる業種については規制の対象から除くことを検討している、ということです。
ただし、温度管理が必要だったり、販売や食品の小分けなどを行う際には、公衆衛生上の観点からHACCPに沿った衛生管理を行っていく必要はあるという考えも示しているため、「どんなものでも食品を扱う以上、衛生管理の考えはしっかり持っているべきだ」という意も見て取れます。
HACCPを導入していくにはまず何から始めたらよいの?
HACCPはISOなどと同じように、民間企業により認証を取得することも可能ですが、厚生労働省によると今回の制度化において認証の取得は不要とされており、必ずしも認証を受けていないことがNGとはならないようです。
逆に言えば、しっかりとHACCPに基づいた対策がなされていることが大切ということですね。
また、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の基準においては、事業者団体が作成し、厚生労働省が確認する手引書を利用して、温度管理や手洗い等の手順を定め、簡便な記録を行うことを想定、とあり、比較的容易に取り組めるもののようです。
いずれにせよ、営業許可の更新時や通常の定期立ち入り検査などの際に衛生管理計画の作成や実践がきちんと行われているかをチェックされることになっていくと考えられます。
食品等事業者団体が作成した業種別手引書【厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028.html
また、別の記事でも紹介しておりますが、HACCPは管理の仕方を定めたシステムなので、基本的に大きな機械や高額なアプリケーションを導入しなくても簡単に始めることのできるシステムです。
HACCP導入までの簡単な流れをご紹介した記事もありますので、よろしければチェックしてみてくださいね^^
【まとめ】HACCP(ハサップ)システムを導入するための手順|初心者のためのHACCPのはじめかた
まとめ
いかがでしたか?
いわゆるHACCP義務化にあたる「HACCPに沿った衛生管理の制度化」制度により、食品に携わる業界は原則全ての事業において対象となります。
その中でも大規模・中規模の食品事業者はHACCP7原則に基づいて、一方、小規模事業者や飲食店・販売店などは厚生労働省に指定された管理方法に基づいて衛生管理を行っていくことが、近年のうちに制度化される予定です。
法令が改正されるのは多少の手間はあるかもしれませんが、これを機に自社の衛生管理方法を見直せる良いチャンスと受け止め、クレームのない工場・事業所を目指していきましょう。
こちらの記事も是非チェックしてみてください♪
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鈴木ちか
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