こんにちは!エクシールの清水です。
先日、以前会社でお世話になった先輩と食事に行きました!おいしいものを食べながら近況を報告して、とても楽しい時間を過ごせました☻またこういう機会をつくって、たくさん話せたらなぁと思います!
さて、今回のテーマは【残留農薬】についてです。残留農薬が起きる原因と、どのような基準が定められているのかを本記事で確認していきましょう。
残留農薬とは
簡単に言うと「食品や環境中に農薬成分が残る(残留する)こと」です。
農薬取締法では農薬は次のように定義されています。
「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみ、草その他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、除草剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤(肥料取締法(昭和二十五年法律第百二十七号)第二条第一項に規定する肥料を除く。)をいう。
(出典:農薬取締法)
具体的に薬剤を分類すると次のようになります。
- 殺虫剤:農作物にとって有害な害虫を防除する。
- 殺菌剤:農作物に有害とって有害な病気・微生物を防除する。
- 殺虫殺菌剤:農作物の害虫や病気を同時に防除する。
- 除草剤:雑草を防除する。
- 殺鼠(そ)剤:農作物を加害する野ネズミなどを駆除する。
- 植物成長調整剤:農作物の成長を促進、抑制する。
- 誘引剤:主として害虫(昆虫)をにおいなどで誘引する。
- 展着剤:ほかの農薬と混合し、その農薬の付着性や浸透性を高める。
- 天敵:農作物を加害する害虫の天敵。
- 微生物剤:微生物を用いて農作物の害虫や病気等を防除する。
残留農薬の原因
まず農薬について覚えておきたいのは、どんな農薬でも使用できるわけではないということです。農薬を開発したとしても登録申請の為には試験をクリアしなければなりません。試験項目には薬効・薬害・毒性・残留性などがあります。
★詳しくはこちらをご確認ください。
つまり安全性が確認された農薬しか、そもそも使用できないということを念頭に置いておきましょう。
しかし、いくら試験をクリアした安全な農薬といっても、残留農薬が起きることがあります。一体なぜでしょうか。
① 栽培で使用される
農作物の栽培において農薬が使われることはもちろんのこと、畜産物(ミルク・食肉など)にも可能性があります。家畜を育てる中で、寄生虫や細菌感染などを防ぐために薬が使われると畜産物にも残留農薬の可能性が考えられるのです。
② 家庭で農薬が使用される現状
最近では当たり前のように家庭でも農薬が使われるようになりました。例えば除草剤だったり、殺虫剤だったり。使い方次第では、家庭でも残留農薬を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
③ 不適切な使用
安全な農薬でも基準の用量を大幅に超えていたり、不必要に農薬を混入させたりすると、健康に有害な影響を与えることがあります。
④ ほかの薬との組み合わせ
よく風邪薬でも「飲み合わせに注意」ということがありますよね。これと同じことが農薬でも言えます。試験をクリアした農薬どうしであればよっぽど大丈夫ですが、例えば風邪をひいて抗生物質を飲んでいる人が残留農薬の付いた食材を摂取した場合、組み合わせによっては健康に害をもたらしたり、薬の効果をなくしてしまう可能性があります。
残留基準について
前項で新たに農薬を登録するには試験があると述べました。この試験の結果から、食品健康影響評価(リスク評価)を行うのが食品安全委員会です。
農薬を一生涯にわたって日常的に摂取し続けても、健康への悪影響がないとされる一日当たりの摂取量「一日許容摂取量(ADI)」や、農薬を24時間よりも短時間で経口摂取しても、健康への悪影響がないとされる一日当たりの摂取量「急性参照容量(ARfD)」が設定されます。
設定された基準値を超えて農薬が残留する食品を販売したり輸入したりすることは、食品衛生法に基づいたポジティブリスト制度で禁止されています。
① ADI(mg/kg体重/日)
動物による長期毒性試験によって無毒性量※を出します。様々な動物で試験を行い、この中で一番値の小さいものを無毒性量(NOAEL)とします。
ADIは「無毒性量(NOAEL)×安全係数(1/100)」が基本です。
② ARfD(mg/kg体重)
動物による短期毒性試験によって無毒性量を出します。単回投与で発現する又は発現する可能性がある毒性の影響が認められなかった最大の投与量を無毒性量(NOAEL)とします。
ARfDは「無毒性量(NOAEL)×安全係数(1/100)」が基本です。
※無毒性量について
毒性試験物質を各種動物に与え続けても、動物に有害な影響がみられない最大の投与量。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最近は科学が進歩し、より安全な農薬が開発されたり、法制度が整備されて安全性の確認が取れない農薬は使用できないといった状況にあります。しかし、こんな安全性の高い状況でも一人一人が使用の際にルールを守らなければ人の健康に影響を及ぼす可能性があります。農薬を含めて、化学物質などを企業あるいは個人で取り扱う際には十分注意し、また教育をしっかりして安全に使用できると良いですね。
◆参考サイト
・農林水産省
・(株)食環境生成研究所
・(株)食環境生成研究所
清水 まり
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